第三部 権力のはらわた
第十一章 不和の林檎は投げられた - 一九九二年十二月 -
◆ブルブリスー「灰色の枢機卿」もしくは陰気なポスト・モダニスト
(p.487−p.494)

ブルブリスは、エリツィン政権のNo2としてエリツィンに寄り添い、名うてのインタビュー嫌いとして知られていました。彼は92年12月に、国務長官を解任されてしまいました。その解任直後に著者はインタビューに成功しました。

インタビューの概要は以下の通りです。

・解任自体は予測されたことである。私は、今も、将来においてもラディカルな改革の持ち主であり、70年余りにわたて築き上げてきた共産主義、全体主義的なシステムを破壊しない限りロシアに新しい国家、新しい社会体制を建設することは不可能である。

・報復主義勢力は、ソビエト式の指令型権力構造の復活のために、エリツィンの側から切り離さないといけないというプロパガンダを流し、それが功を奏して大統領は私を解任することになった。しかし、これだけ攻撃されるということは、私の存在が大きいと評価されたようなものである。ただ、気がかりなのは大統領が改革を一貫して継続できるかどうかである。

・民主主義、自由主義を綱領に盛り込んだ政党を新たに設立予定である。

・(中間派である)ルツコイ氏は、改革派の思想と目的、方法論を理解できず、結局はだれかが作ったシナリオに乗って、途中からポピュリスト的なデマゴギーを振りまき始めました。愛国主義者とソビエト教条主義者の悪しき混合物である。

 

ブルブリスはインタビューからもわかるように、とにかく筋金入りのラディカリストでした。また、ブルブリスはナンバー2から退いても裏でエリツィン大統領に対する影響力を保持していると中間派や保守派から指摘を受けていました。

ただ、混乱期にはこういう過激な改革派が出やすいということがうかがえました。日本でも財政赤字がよりひどくなると、このような過激な改革派が出現するように感じています。

 

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