第2章 ロシアを見くびってはいけない
乳児死亡率が低下し、出生率が上昇しているプーチンのロシア
(p.81-82)
ところが今日、数ヶ月前から私が観察し、注目しているのは、プーチン支配下のロシアでかつてとは逆に、乳児死亡率が目覚ましく低下しつつあるとうう現実なのです。並行して、それ以外の人口学的指標も有意の事態改善を示しています。男性の平均余命、自殺と殺人の発生率、また何よりも重要な出生率などの指標です。
2009年以来、ロシアの人口は増加に転じて、全てのコメンテーターや専門家を驚かせています。
これは、ロシア社会が、ソビエトシステム崩壊による激しい動揺と、1990年代のエリツィン統治を経て、今、再生の真っ最中だということを示しています。
ロシアのこの状況は、数多くの点で、中央ヨーロッパの国々や、底知れない実存的危機に沈んだウクライナに比べればいうまでもないですが、西欧の多くの国々と比べても、より良好な状況だといえます。
ソ連が崩壊し、エリツィン政権下のロシアは「あらかじめ裏切られた革命」の書評にて紹介したようにめちゃくちゃな社会でした。しかし、プーチン就任後の2000年からは乳児死亡率が顕著に低下しており、さらに、1999年に底を打った出生率が2005年以降明らかに上昇に転じています。西側諸国のプーチン嫌いの報道によってあまり知られていませんが、どう見てもプーチンは有能な指導者であるといわざるを得ません。
また、無能なリーダーから勇敢で有能なリーダーに変わることで国家は再生する、という生きた実例と感じました。
一方、日本の出生率は1.2〜1.4と横ばいのままですので、少子高齢化はますます加速する一方です。抜本的な改革を行えるリーダーが必要と感じます。