第二部 青ざめた異族
第六章 ロシアの他者なるチェチェン - 一九九一年十一月 -
◆越境し続けるチェチェン・マフィア
(p.303−p.311)
ドゥダーエフ大統領との単独会見を目指し、官邸で待機していたところ、エストニア共和国のマスコミ関係者・ルサールと意気投合し、ドゥダーエフ大統領のことについて話してくれました。
実はドゥダーエフ大統領は、91年にエストニアに駐留するソ連軍として赴任していた経歴があり、彼は、ゴルバチョフがバルト三国に対して出したテレビ塔の占拠命令をはじめとした血の弾圧の命令に従わず、エストニア市民弾圧の命令を拒否したという実績があり、その後、エストニアが独立した時、ドゥダーエフ大統領はエストニア国民に大変人気が出た人物だったのです。
また、アルメニア大地震があった時も即座に救援物資を運ぶように手配をするなど、何かあった時に大変決断が早い人物であり、かなり熱っぽく語っていたのでした。
一方、エストニアをはじめ、バルト三国でもチェチェン人マフィアはかなり根深く張っており、ロシア連邦内部で闇経済をしているグループと、国際的な麻薬マフィアのグループの2つに分かれて互いに勢力を伸ばしあっており、このことに関してはかなり困惑していたようでした。
混乱時には決断力が高いリーダーが台頭し始めることと、同時に、闇勢力も台頭してくるということが改めて浮き彫りとなった次第です。
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