第1章 ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る
§3 ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る
「ロシア嫌いの衛星国」ーポーランド、スウェーデン、バルト三国
(p.45-46)

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 もう一つの別の特定のカテゴリーの国を赤色で示す。私が「ロシア嫌いの衛星国」と呼ぶ国々だ。
 逆説的なことに、これらの国々は一定レベルの自由を享受している。ドイツ主権下の空間に所在するのだけれども、私はこれらの国々を隷属的な立場とはみなさない。というのは、これらの国々自体が現実にこのポジションを切望しており、とりわけ反ロシアの情念に取り憑かれているからだ。

 見てみたまえ。フランスにはもはや夢がない。フランス社会党と国民運動連合(UMF)と高級官僚の代表たる会計検査官たちの指導のもとで、フランスが希求していることといえな、服従すること、模倣すること、そしてタイムカードを押すことくらいなのだ。
 それに対して、ポーランドやスウェーデンやバルト三国には夢がある。ロシアを破滅させるという夢さ。ドイツ支配権に進んで参加することでその夢を信じることができるのだ。

 それにしても、より深いレベルでの考察として、再び右翼化したスウェーデンが1914年以前のあの国、すなわち親ドイツ的な国に完全に立ち戻りつつあるのかもしれないと私は考えている。

 ロシア嫌いの衛星国群は特別なカテゴリーにまとめられるべきだ。というのは、その諸国はドイツが悪い方向へと走るのを助けかねない方の一部をなすからである。

 話をちょっとフランスのエリートたちに戻すと、彼らはすでにドイツを神格化し、ドイツ批判を拒否することで、ドイツに将来訪れる精神的アンバランスへの根本的に重要な貢献と映るだろう。
 スウェーデンやポーランドやバルト三国の場合は、それとはまた異なる話だ。これらの国々の場合は、あからさまに、そしてダイレクトに、ドイツを粗暴な国際関係へと導いていくかどうかが問題となる。

 トッド氏が示す赤色のエリアは反ロシアの諸国です。反ロシアを取っている要因の一つは、これらの国々の家族型がロシアのものとは異なるためではないかと考えられます。なぜなら家族型が異なれば価値観も大きく異なるためです。
 ロシアの家族型は外婚性共同体家族で、権威と平等を重視しますが、スウェーデンはドイツと同じ直系家族、ポーランドは平等主義型核家族と、家族型が明らかに異なります。また、ロシアと対立して独立したバルト3国や、現在ロシアと対立しているウクライナも、家族型がロシアのそれとは異なると考えられます。

 トッド氏の懸念は、氏の専門分野から推測すると、これらの国々が、家族型の違いが大きいロシアとはあきらかに価値観が合わないがために、家族型の違いがより少ないドイツに与し、ドイツを煽り、結果としてヨーロッパを不安定なものにするのではないかと私はとらえました。

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