第1章 ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る
§3 ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る
「被支配地域」ー南欧
(p.44)
この地図の黒とグレーの塊がドイツのパワーの中心を表している。この塊が、ヨーロッパ全体のシステムの中で被支配地域となった南ヨーロッパを従属した立場に置き、押さえ込んでいる。
ドイツはイタリアで、ギリシャで、またたぶん南ヨーロッパ全域で、ドイツが押し付ける財政規律のゆえにひどく嫌われている。しかし、それらの国々は何もできない。なぜなら、ドイツがその隣接空間とフランスを伴って、いっさいを支配する能力を有しているからだ。支配されている国々は、この地図では黄色で示されている。
トッド氏が示す黄色のエリアのうち、特に南欧の部分は、リーマンショック以降、財政悪化が著しく、自国だけでは立て直すことができない可能性があるとされる「PIIGS」(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)と呼ばれる国々にあたります。
画像出典:株の学校
※Euro zone debt crisis in graphics(トムソンロイター社)のデータを表にしたもの
上の表から明らかなように、これらの国々へはドイツとフランスが主に貸し込んでおります。そして今年のギリシャの債務危機の際には、特にドイツが債務返済を強硬に主張し、ギリシャが国民投票を行って6月時点の債務返済計画を拒否しても結局は6月時点に近い内容の債務返済計画を飲ませられたのは記憶に新しいです。
トッド氏の言う通り、南欧は完全にドイツとドイツに従属するフランスによって押さえ込まれているのです。