第1章 ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る
§5 アメリカと「ドイツ帝国」の衝突
平等と自由をめぐるドイツ・フランス・アメリカ
(p.68-70)

 しかし、すでにわれわれは知っている。強襲揚陸艦ミストラルのフランスからロシアへの売却をめぐる事件でわかったのは、ドイツの指導者たちが、今ではフランスに対して、フランスの軍事産業で今日残っているものを処分してしまうように求めているということだ。ドイツの社会文化は不平等的で、平等な世界を受けいれることを困難にする性質がある。自分たちが一番強いと感じる時には、ドイツ人たちは、より弱いものによる服従の拒否を受けいれることが非常に不得意だ。そういう服従拒否を自然でない、常軌を逸していると感じるのである。
 フランスでは、事情はむしろ正反対だ。服従の拒否はフランスではポジティブな価値だから。不服従が日常茶飯事で、それはフランス的魅力の一つともいえる。というのは、フランスには秩序と効率への不思議な潜在力も存在しているのだから。
 規律と不平等に関するアメリカのあり方は、また別の意味で複合的であり、分析するには数ページを割かなくてはならない。手短に述べよう。それには事実確認が手っ取り早い。
 ドイツ的なタイプの規律ある上下関係はなかなか通用しないだろう。アングロサクソンの社会文化は、平等的ではないが、本当に自由主義的だ。平等か不平等かは場合による。同じ家族内の兄弟間のリーズナブルな差異から、個個人間の、また諸国民の間のリーズナブルな差異という考え方が生まれている。そもそもそこに、アメリカモデルの成功の理由があるのだ。英米系の社会と文化は、諸国の間の差異をそこそこリーズナブルに管理することができる。

 
 ドイツ=直系家族、フランス=平等主義的核家族、アメリカ(英米系)=絶対核家族のそれぞれの家族型に関して、本書での簡潔な説明がなされています。特にドイツで特徴的なのが、はっきりと力関係で序列をつけ、弱者は強者のいうことに従わなければいけないという考え方です。一方、現在の覇権国アメリカは自由ではあるが人々の間には、違いはあってもなくても良いという緩やかな関係となっているため、明らかにドイツとは異なるということがお分かり頂けると思います。
 なお、フランス、特にパリ盆地付近は平等主義的核家族のため、序列をつける不平等や、服従を強いることに対して強い反発を抱くことが当然となっています。トッド氏はフランス人として、ドイツの強圧的な姿勢に対して我慢がならないのかもしれません。

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