第1章 ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る
§5 アメリカと「ドイツ帝国」の衝突
価値観のちがいが対立を招く
(p.70)
結局、アメリカとドイツという二つのブロックは、それぞれの性質上対立的だということを確認しなくてはならない。この二つのブロックの間には、経済規模の近郊の破綻、価値観の違いなど、紛争を生みやすい全ての要素が積み重なっている。ロシアが潰されるか、あるいは周縁化されて、ゲームの外に排除されるのが早ければ早いほど、この二つのブロックの間の差異が早く表面化してくるだろう。
私見によれば、現時点での真の歴史的な問いは、誰一人提示しないのだけれども、次のものだ。アメリカは、アメリカにとって脅威となるドイツを新しい現実としてみることを受け入れるかどうか、受けいれるとすれば、それはいつか?
ドイツとアメリカとでは、基本的な家族構成の違いによる価値観の違いに起因し、対立するということです。また、以前に紹介しました「ドイツ帝国」の領域とアメリカとの、人口、GDP比較などでも、国力的にも肩を並べている状況の上、アメリカは実質ドイツのことをコントロールできていない有様であることがわかっています。
トッド氏は、アメリカにとってドイツは脅威となることにまだ気づいていないという考えですが、私は、すでにアメリカはドイツの脅威を認識しており、海岸で死亡したシリア難民の子供の写真のプロパガンダを通じてEUに難民を大量に受け入れさせて混乱させた最中に、VWの排ガス不正問題を公表してドイツの信用を大きく毀損させ、それと関連してVWをはじめドイツ企業が投資している中国で経済危機が発生することで、ドイツの国力を大きくそぎ落としにかかったのでは?と考えています。