第1章 ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る
§3 ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る
地図が示す「ドイツ圏」という領域
(p.42)
-この地図はあなたが見るところのドイツ帝国の現状ですね、ドイツが中心にあり、様々な衛星国や(あなたがうまく言ってのけている)自主的隷属状態の国が、周りに位置している。あなたの観点から見て、この地図は何を表していますか?
この地図が助けになって、ヨーロッパの性質が変わったことが意識されるといいなと思う。この地図は現在のみならず、かなり近い将来の可能性も表している。EUが提示する一般的な地図は各国の平等性を示そうとした地図であって、もはや現実を語っていない。それに対してこの地図は、いわばヨーロッパの新たな現実を可視化する初めての試みだ。ドイツの中心的性格を確認し、ドイツがどのようにヨーロッパ大陸を掌握しているかを意識化するのに役立つ。この地図が言おうとする第一の事柄、それはドイツ自体よりも大きな非公式の「ドイツ圏」が存在するということだね。そのドイツ圏は、ドイツに対する経済的依存度がほとんど絶対的と言えるほどのレベルにある国々で構成されている。
以前紹介しましたが、この地図はEUはもはやドイツが中心となっており、ドイツがどこまでヨーロッパの領域を支配しつつあるのかが一目瞭然のため、大変インパクトがあります。そして、これらの国々は、いずれもドイツへの輸出に大きく依存していることが明らかとなっています。(参考:通商白書2008年版の第1-2-39表 EU域内の貿易結合度を参照)
これから数回にわけて、ドイツがこれらの地域を具体的にどのように牛耳っているかを紹介していきます。