第1章 ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る
§1 自ら進んでドイツに隷属するようになったフランス
オランドは「ドイツ副首相」
(p.28-p.29)

 まずフランスだ。この国は自らすすんでドイツに隷属するようになったと言う事実を相変わらず認めない。これは必然的なことだといわなくちゃならない。なにしろ、今言ったことを認めるには、ヅランスはまずドイツが擡頭したという事実と、フランスがドイツを制御できるレベルに無いと言う事実とを完全に認めなければならないのだから。

 第二次世界大戦の地政学的教訓があるとするならば、それは正に、フランスがドイツを制御し得ないということである。ドイツが持つ組織力と経済的規律のとてつもない質の高さを、そしてそれにも劣らないくらいにとてつもない政治的非合理性のポテンシャルがドイツには潜んでいる事を、我々は認めなければならない。

 ドイツと言う現実をフランス側がみとめようとしていないことは明白だ。既にしばらく前から私は。フランソワ・オランドのことを「ドイツ副首相オランド」と呼んでいる。さらに今後は、むしろ単に「ドイツ首相府広報局長」とみなしてもいいくらいだ。彼はもはや何者でもない。既に例外的な不人気のレベルに沈んでいる。その不人気は、部分的にはドイツへの隷属に起因している。フランソワ・オランドはフランス人達から軽蔑されている。なぜならドイツに服従する男だから。

 より一般的に、フランスのエスタブリッシュメントたちは、ジャーナリズムに属しているにせよ、政界の一員であるにせよ、こうした否認のプロセスに参加している。

 フランスのオランド大統領は、2013年の世論調査で1958年にフランス第五共和制が始まって以来、史上最低の支持率(21%)を記録しており、フランス国民から本当に不人気のようです。
(参考:オランド大統領の支持率が過去最低:フランスニュースダイジェスト

 世論調査において支持率が低い原因は景気が改善されていないことの他に、「決断を下すことのできない、最も気概に欠ける大統領」という指摘がみられました。
 
 トッド氏はその不人気の理由=気概に欠ける要因を「ドイツへ進んで隷属したこと」にありますが、その具体的な有様は第5章に入った際に詳細に紹介されています。

 また、トッド氏は「フランスがドイツを制御し得ないこと」、「ドイツが持つ組織力と経済的規律のとてつもない質の高さを、そしてそれにも劣らないくらいにとてつもない政治的非合理性のポテンシャルが潜んでいる」とも指摘しており、この指摘は大変私も気になるのですが、理由は次回以降に詳述されています。

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