第1章 ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る
§1 自ら進んでドイツに隷属するようになったフランス
スノーデンを保護して西洋における市民の自由を守ったロシア
(p.19-p.20)
ーロシアを巡る現在の危機をどういう視点で見ていますか
今日の国際システムはどこか奇妙で、非現実的に思えるよね。何かがうまくいっていない。皆がやっきになってロシアに打ちかかっているのだが、ロシアの人口はわずか一億四千五百万人。国として立ち直ったのは確かだけれども、ロシアが世界全体の中で、あるいはヨーロッパに限定した中でも、再び支配的な国家になるとはだれも想像できまい。
ロシアの力は基本的に防衛的なものだ。あの巨大な領土を保全していくだけでもあれほど限定された人口。丁度日本の人口に匹敵する程度の人口では容易な事ではない。
ロシアは世界がバランスを保つ事に役立つ強国なのさ。核兵器とエネルギー自給のお陰で、あの国はアメリカに対する反対側の重しの役目を果たすことが出来る。たとえば、あえてスノーデンを迎え入れることができて、逆説的なことに、結果的に市民の自由の擁護に貢献している。ヨーロッパと世界を貪り食っていくロシアという仮設はバカげているよ。
岩上安身著「あらかじめ裏切られた革命」を通読したこともあり、ソ連が崩壊しロシアへ移行した時に急激に国力が低下し、プーチンが登場してようやく立て直しができたという状況で、現在のロシアは国土防衛に手一杯、だというトッド氏の見解には完全に同意できます。
また、スノーデンは、アメリカがNSA、CIAを通じ世界中のありとあらゆるところで情報を窃取する活動をしており、MicrosoftやGoogleをはじめとしたIT企業がそれに協力していたという事実をはじめ、「市民の自由や権利を侵害しているアメリカ」の実態を世界中に暴露した、衝撃をあたえました。
それができたのも、ロシアが亡命先として受け入れたからに他ならず、「結果的にロシアが市民の自由の擁護に貢献している」という表現になるのです。