第1章 ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る
§3 ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る
「離脱途上」ー ハンガリー
(p.49-50)
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 私はハンガリーを、離脱の試みという点dねイギリスと同じようにみなした。ヴィクトール・オルバーン首相はヨーロッパで評判が悪い。一般に言われているところによれば、権威主義的で右翼強硬派であるらしい。そうなのかもしれない。
 しかし、何よりもまず、ドイツのプレッシャーに抵抗するというのが彼の評判の悪い理由だ。なぜハンガリーが反ロシアでないのか、ハンガリーは1956年にソ連の激しい弾圧を受けたのに、と訝しく思えるかもしれない。しばしば起こることだが、「〜にもかかわらず」が多分「〜ゆえに」に取って代わられたのにちがいない。1956年、ハンガリーだけがソ連の圧力に正面から向かい合ったのだ。
 ポーランドやチェコ ーこの両国の人々は当時、ほんのすこししか、あるいはまったく動かなかったー に比べて、ハンガリー人はロシア人の支配の下での自らの歴史を誇ることができる。つまり、ハンガリー人は赦すことができるのだ。
 1970年代にハンガリーで流通したある大胆な冗談が、東ヨーロッパ内の差異を理解するのを助けてくれる。すなわち「1956年にハンガリー人はポーランド人のように行動した。ポーランド人はチェコ人のように行動した。チェコ人は豚のように行動した。」

 なぜハンガリーが反ロシアでないのかという説明に関しては、上記引用もさることながら、ハンガリーの家族型はトッド氏の分類ではロシアと同じ外婚性共同体家族に属しているため、価値観がロシアとそう大きく違わないことが考えられます。また、ハンガリーは、シリア中東諸国の移民受け入れに関し、ドイツとは異なりセルビア方面の国境封鎖や強制送還など受け入れを制限する政策を最初から実施し続けていることからも「離脱途上」という指摘は外れていないと感じました。

 なお、一番最後のジョークは最初は意味不明でしたが、トッド氏提唱の家族型とその傾向に関して当てはめて考えると、ハンガリーはロシアと同じ外婚性共同体家族のため権威と平等を重視するので不平等を強いるソ連に対して最も抵抗し、ポーランドは平等主義的核家族のため自由と平等を重視するのである程度はソ連に対して反抗し、チェコは直系家族のため権威と序列を重視するのでソ連が主であると認識しているためさしたる抵抗を示さなかった、ということを言い表しているのではないかと感じました。

 この本に関しては、トッド氏の過去の研究成果を合わせて読みこなす必要があると改めて感じた次第です。

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