第4章 ユーロを打ち砕くことができる唯一の国、フランス
ヨーロッパはすでに死んでいる
(p.123-124)

 -それにつけても、あなたは最近、新たなヨーロッパが破綻していると述べましたね。新しい政治を確定できずに入る西欧の無能さにおいて、旧大陸は特別な責任を負っているのでしょうか?。

 私の考えでは、ヨーロッパにはもはや何も期待できません。ユーロを厄介払いすることが自らの延命にとってきわめて重要な利益であるというのに、それすらできないような地域に、いったい何をまじめに期待することができるというのでしょうか。
 この意味で私は今日、合衆国で起こることにより大きな関心を寄せていると白状しておきます。オバマの第一期は私には特に印象的ではありませんでした。が、2012年の再選以降の彼の政治、とりわけウクライナ危機にいたるまでの外政は、見せ掛けでない革新的知性によるものだった…。
 したがって本当の問題は、アメリカが自らの現状を維持できるかどうか、さらにはボールが跳ねるように反発してまた強くなることができるかどうか、それとも沈没し、衰退していくか、そこのところなのです。ヨーロッパのケースは、私見ではすでに決着してしまっています。

 ユーロが失敗でダメであるという主張は、第5章オランドよ、さらば!で詳細に語られておりますが、ギリシャ危機についても、ギリシャが単独で通貨発行政策に対応ができる自国通貨(ドラクマ)だったらもっと柔軟な対応ができたであろうと思わずにはいられませんでした。
 オバマ第二期の2012年~2014年2月までの時期で外政で目立ったことといえば、「アメリカが世界の警察官から降りた」ことにあります。トッド氏はそのことを評価しているように思えます。私は、アメリカはおそらく近い将来にいったん世界各地から軍事的に撤兵をすることで自身の国力回復を図るのではないかと考えます。その撤兵の際に地域紛争や政変が日本国内、および近隣地域で発生するのではないかと懸念します。

Follow me!