第4章 ユーロを打ち砕くことができる唯一の国、フランス
極端に振れるドイツの対露外交
(p.109)

 この反転は、ドイツの姿勢の急速な変化によって説明できると思います。人はしばしば私のことをドイツ嫌いと決めつけますが、私は次のように診断するからといって、自分が侮辱的であるとも、真実からかけ離れて見当違いをしているとも思いません。
 あの国のエリートたちはロシアとの関係において、好意と紛争との間で絶え間なくためらい、揺れ、心理的・歴史的なある種の「二極性」の症状を呈しています。
 この二元性はビスマルクからヴィルヘルム二世への横滑りに明らかです。前者はロシア皇帝のパートナーになることを願っていましたが、後者は唐突に悪循環に足を踏み入れ、ついには第一次世界大戦に突入しました。
 もっとも今日に近い時期のことを引き合いに出すなら、1939年8月に締結されたモロトフ・リッペントロップ協定(独ソ不可侵条約)が、早くも1941年にはヒトラーのロシア侵攻によって無効化されました。

 極端に振れるのがドイツ外交の特徴であるとトッド氏は指摘していますが、シリア難民受け入れ問題ではメルケル首相が唐突に受け入れを表明したものの、その後国内では大量にやってきた難民たちの対処に苦慮し、受け入れ反対の声も上がり始めていますので、ドイツについては外交に限らず政策全般についても極端に振れる傾向があるようです。

 また、ドイツの家族型は直系家族で、日本と同じです。日本の場合も、急激な方針の転換については、江戸時代から明治維新への切り替わりや、太平洋戦争終戦前後で実例がありますので、直系家族型においては、政策面で極端に振れる急激な変化を時々起こす傾向があるのかもしれません。

 この「極端に振れるドイツ外交」という点が重要そうに感じました。

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