第8章 ユーロが陥落する日
社会を崩壊に導くエリートたち
(p210-211)

 ヨーロッパ建設に関しては、不平等と支配の力が末期的酩酊の姿をとるに至っています。政府債務解消の狂熱的優先、貪欲な民営化、そして緊縮一辺倒! 要するに、これまでやられてきたことを、もっと、もっとやろうというわけです! あたかもこのような言説をおこなうエリートたちは、彼らの破滅を願う神々によって目隠しをされているかのようです。われわれは歴史の悲劇性の中で難渋しているのです。
 ところが、同時に注目すべきは、このようにして悲劇に戻っていく運動が、われわれの国では、年齢のピラミッドのあり方ゆえに、老いぼれの様式で進んでいるということです。だからこそヨーロッパでは、アラブ諸国で起きたことに反して、若者たちが公共空間にどっとなだれ込むという現象は見られないのです。

 
 日本人の視点からするとヨーロッパでも激しいデモが行なわれていると感じていますが(参考:ヨーロッパの激しすぎるデモ:世界の裏側ニュース)、トッド氏の指摘を振り返ると、「アラブの春」のように政府を打倒するほどまでの勢いではありません。
 この差異は、トッド氏の指摘通りアラブ諸国は若年層が主体ですが、ヨーロッパ諸国は40代が主体の年齢構成となっていることもどうやら影響しているように思います。

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