第7章 富裕層に仕える国家
「1%対99%」の格差に奉仕する国家
(p176-177)

 -庶民がコツコツと貯蓄しているお金に対して、あなたの言い方は軽すぎますよ!

 私は脅かしに譲歩することを拒否します。昔、モンゴル民族は方々の町を征服した時、人質を人間の盾のように使っていました。最富裕者たちのグループは正確に同じことをしています。彼らの人質、それはコツコツと貯金する庶民たちなのです。

 -何かにつけ「金持ちのせいだ!」というのは短絡的じゃないですか?

 あなたに気にいると入らないとに関わらず、社会の上層部への金銭の過剰の蓄積はこの時代の特徴の一つなのです。一般人の所得の低下ないし停滞は、最富裕1%と、その中でもとりわけ富裕な0.01%の所得の上昇と対になっているのです。
 国家とは何かということについては、その両義性を認め、マルキシズムの理にかなった部分に依拠しなければ、現在起こっていることは理解できません。
 国家は、一般意志の体現者にもなれば、支配階級の表現にもなるのです。第二次世界大戦後の社会的国家、ドゴール主義の国家は、当時共産党が行っていた批判に対して何よりも一般意志の実現のために行動していました。経済成長をみんなのために管理していました。
 今日、国家はその主要な正確から見て、何よりもまず階級国家です。金融資本主義が改で諸国家をコントロールするようになっています。

 私自身、個人的にはトッド氏の意見に対してはインタビュワーの言う通りに突っ込みたいところですが、富裕層への極端な富の偏りはゆるされないという意見をトッド氏はお持ちなのだということがうかがえた次第です。
 

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