第6章 ドイツとは何か?
ピケティの分析が示唆するもの
(p170-171)

 -また新たにやって来る緊縮財政とデフレに抵抗する力がフランス国民にあると思いますか?

 経済協力開発機構(OECD)の統計と経済学者トマ・ピケティ(「21世紀の資本」の著者)の研究によれば、フランスにおける不平等の推移は矛盾しているというか、独特です。 一方では、2000年以来、フランス人のうちの1%が著しく富裕化していること、そしてその中でも特に富裕な0.1%が一層著しく富を蓄積していることが確認できます。
 しかし他方、1%の富裕層にすぐ続いて富裕な9%と、人口の残りの90%の間の格差はさほど拡大していないのです。そこが他の先進国で起こっていることと異なります。
 この事実を踏まえると、フランスの寡頭支配者たちが今日なお、まるで熱に浮かされたように福祉国家を倒せと煽るのがなぜなのか、よりよく分かりますね! フランス社会を規制する平等の原則が機能し続けているのです。
 脅威であるとともに、予断を許さぬサスペンスでもあるのは次のことでしょう。
 今後この0.1%の超富裕層が権力を掌握し続けるか、それとも、国外へ出なければならなくなるか。フランスは今この危機に直面して、その元々の性質であり力であるもの、すなわち自由と平等の価値に立ち帰る寸前なのではないでしょうか。

 本書記載のトッド氏の経済格差に関する数字に関しては、The World Wealth and Income Database からも裏付けをとることができました。
 これで第6章のご紹介は終了です。
 この第6章最後で提起された、「0.1%の超富裕層」による寡頭支配の問題が、第7章 富裕層に仕える国家にて詳しく紹介されています。
 

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