第5章 オランドよ、さらば! -銀行に支配されるフランス国家
オランド大統領は「マルク圏」の地方代表
(p139-140)

 -大統領選挙からまだ一年も経っていないのに、フランソワ・オランドへの国民の信頼は見るからにガタ落ちです。この苦境を脱するために、彼にどんな方策がありますかね?
 
 フランスがユーロ圏にとどまっている限り、どんな行動を起こすと言い張っても、全て冗談でしかないよ。
 オランドは、「マルク圏」の中のローカルな大統領に過ぎない。現実には、われわれはフランス銀行がいわゆる「200家族」(かつてフランス経済は、金融資本を握る約200の家族に牛耳られていたと言われていた)の専有物であった時代に戻ってしまったのだ。ただし、今日すべてを仕切っているのはもはやフランスの「200家族」ではなく、ドイツなのだけれども。
 

 今回のテロが発生する直前まではオランド大統領は不人気でしたが、国難に直面した現在は空母出撃をはじめとした反撃の姿勢などが評価されているのではないかと考えられます。
 今回、ロシアのプーチン大統領はフランスのことを「同盟国」と表現しました(参考:産経ニュース)。ロシアとは手を組むべきというトッド氏の意見が結果として正鵠を得たように思えます。

 今回のロシアの戦略ですが、それには背景があります。
 ロシアの主力輸出産品は石油、天然ガスなどですが、先日申し上げたアメリカの原油価格大暴落工作、およびクリミア半島併合に伴う経済制裁によって苦境に立たされています。また、アサド大統領と友好関係のあるシリアに基地があり、アメリカと対立しているイランはロシアと国境を接しています。
 シリア難民問題や、ISによるテロ問題は特に欧州において深刻化し始めています。そこで、ロシアは、難民問題解決を大義名分とし、ISの資金を提供しているとされるサウジアラビアやイスラエルに対して牽制する目的でシリアへ軍隊を展開し、優秀な対空システムS-300をイランへと売却、配備してイランとの友好関係を強化し、戦果を挙げています。
 最終的にロシアは、シリア難民問題を平定した恩をドイツやフランスに売りつけ、ロシア産原油を高値で買わせるのではないかと考えられます。

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