第5章 オランドよ、さらば! -銀行に支配されるフランス国家
政治家に「透明性」を求める銀行
(p138-139)

 -あなたがお話になっていること、それは正確に、すでにニコラ・サルコジに対して向けられていた主要な批難です。2008年の大金融危機の時、人々はニコラ・サルコジが危機からの脱出方法を銀行家たちと相談して決めたということを問題にした。この批難は、今日オバマに浴びせられている批難と同じです…。

 経済危機が寡頭政治を露見させるわけだ。この分析を最後まで徹底するなら、こう言えるよ。透明性を要求して議会を攻撃するのはもはや行政ではなく、銀行システムである、とね。
 パトリック・ヴィレル(移民問題や国籍法問題に詳しい政治学者。1956年生まれ)の言っていることが正しい。議員でありつつ地方の首長にもなる兼任を禁止しようとする運動をやめよう。兼任は、議員が地方に基盤を持つことを可能にして、彼らが行政と銀行の権力に抵抗するのを助ける。
 

 フランス政治は銀行システム(金融機関)によって政策が事実上決められているという実態が昨日にもご紹介しました。
 政治が銀行システムによって決められているという点に関し、アメリカのオバマ大統領にも批難されているとインタビュワーは質問していますが、オバマ大統領は銀行システムよりもさらに厄介な相手であるアメリカの軍産複合体(特にアメリカ共和党の支持母体)と対決し、実際に封じ込めを行っている点でオランドとは大きく異なります。

 オバマ大統領はどうやって封じ込めているかと言いますと、アメリカの軍産複合体の資金源は石油と天然ガスの代金であるため、日本の「アベノミクス」で投資された資金を利用してアメリカ国内でシェールガス開発を行い、さらに石油の大産出国であるイランと関係改善を図り、経済制裁を解除することで石油価格を暴落させることで資金源を締め上げることに成功しました。
 そして、アメリカは中東からは極力手を引き(最近になってアフガニスタンからはオバマ大統領の任期中の完全撤兵が不可能になったことが判明)、アメリカがコントロールできなくなりつつある欧州にはVW問題とシリア難民問題(および難民が隠れミノとなってパリ同時多発テロ事件などのようなテロを起こす)で力を発揮させないように仕向ける一方、太平洋方面ではTPPに大筋合意して国力安定を図るというやり方を実施しつつあります。

 このアメリカの政策と、EUの盟主たるドイツの政策の狭間でとばっちりを受けているのが現在のフランス、という状況といえます。

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